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あってはならない、否定できない可能性――最悪の終末。
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【IF Another despair】失われし戦士の記憶


「……バスタービーム?」
遠くから聞こえた轟音を聞き、僕の口から漏れた。

「おかしいな……何故、それと分かるのだろう?」
呟き、考える……だが、何も思い浮かばなかった。

「祈りはすんだか?」
声の方向に振り向くと装甲服に身を纏った十数人の男達が僕を取り囲んでいた――こちらに小銃を構えて

ああ、そうだった。
僕は彼らに囲まれていたんだ。
男たちの方に視線を向け、僕は問い掛けた

「ところで聞きたいんだけど……君達は『防衛隊』というのを知っているかい?」
「知らん」

おそらく隊長格なのだろう、最初に声をかけた男が答えた。

「では、『黄金と刃』は?」
「知らん、もういいか?」

隊長格の男は苛立ちながら銃の狙いをつけた。
勿論、僕に向かって。

「おっとっと、最後に一ついいかな?」
「……なんだ」

荒い声の返答が返る。そろそろ限界なのだろう。
全く短気は身を滅ぼすのに……。

「……僕は誰だ?」
「教えてやる……宗主様に従って死ぬかここで死ぬかしかない能力者……いや、バケモノだ」
「そうか……その件に関しては以前にも宗主さんにはお断りの返答をしたんだけどねえ」

僕の言葉に口の端を吊り上げる男。

「ならここで死ね!」
「やなこった!」

言葉と同時に引き金を引く男。
僕は拒絶の意志を伝えると、一歩二歩左右に動き。銃弾を避けた。

「「なぁ……!?」」
「ルチャドールを銃殺するには君達は殺気がありすぎる……次は猟師さんでも連れてくるんだな」
驚く、隊長格とその部下たち。
そのちょっとの隙をつき、僕は隊長格の男の肩に座るように飛びついた。
すぐに両足を相手の首に絡める。

「……ところでルチャドールってなんでしたっけ?」
誰かの答えを期待しつつ、ふと思ったことを問う。
しかし、返答は周囲の銃口と絡めた足を外そうとする男の動きだけだった。

「……仕方がない」
言って、僕は男の首を軸に身体を回転させた。
嫌な音と感触が両足に伝わった。

「一つ言っておく」
崩れ落ちる男から飛び降りると、懐から覆面を取りだしてこう言った。

「君達がどんなに硬い鎧を纏っていても、関節がある限り無敵ではない」
返答は銃を構える音と怒号の声だった

「さて……思い知れ」
僕は覆面を被ると銃声の雨の中に飛び込んだ――



「……やれやら、また外れだよ」
周囲の死体を一瞥しながら自嘲気味に呟いた。

「やっぱり、宗主さんとやらに会いにいかな……

――ル…………う――

突然聞こえた声に思わず振り向く。
知らないはずなのに、何故かとても暖かい声。
視線の先には――

「また、君か」

僕は長い髪の女性に向かって言い放った。
僕にしか姿が見えず、僕にしか言葉が聞こえない。
しかし、僕の言葉は伝わらない……

「君は……誰だ?」
女性は答えない

「防衛隊……黄金と刃・・…これは何を意味するんだ?」
女性は答えない

「僕は……誰だ!」
女性は答えない

「この技は!この覆面は!この……心に空いた穴は!」
女性は答えない

「僕は一体……誰なんだ」

それでも、答えは返ってこない……
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