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あってはならない、否定できない可能性――最悪の終末。
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#5
【IF Another despair】レギオンとの邂逅

【20XX年 封鎖特区 鎌倉】

始まりにして終わりの地、鎌倉。
世界結界はもはや意味をなさず、
敵性来訪者の来襲、そしてシルバーレインによるゴーストの発生により荒廃した地。

―エノシマ・エリア
「…。一瞬、彼女と見間違えましたよ」
"左利き"、
"赤錆"、
"宗主"。
一番最初に口を開いたのは"宗主"だった。
「おねえちゃんの勇気は、わたしが相続したから」
だから似ているんだ。
己の胸に手を当てる比留間・イドラ。
「女、名乗れ」
「あら、意外と紳士なんですね?」
眼鏡を指で上げる"宗主"。
イドラは不敵に微笑むと、大きく息を吸い込んだ。
大きく腕を広げる。風にはためく真紅の布槍。
「それはよみがえる一族の正義!!」
―やめろ

大地に堂々と突き立つ二本の足。
「少女は思った! 
受け継いだこの勇気が本物ならば、
わたしはあらゆる大理不尽に打ち勝ってみせると!」
―やめるんだ

少女の人差し指が天を指し。
「ここから先は!!」
―やめてくれ

"宗主"の一点に指を下ろす。太陽のように煌く青い瞳。
「わたしの一撃くらって、体で理解しなさいッッ!!」
―そんな澄みきった目で正義を語らないでくれ
"左利き"は絶叫しそうになる己の体を自分で押さえ込んだ。
青い太陽は、今の彼には眩しすぎる。

「…お見事」
"宗主"はどこか満足げに微笑む。そして次の瞬間、唐突に姿がゆらいだ。
「終幕だ。死ね小娘」
「! いかんッ!!」
"赤錆"の大剣と、"宗主"の戦槌がぶつかって詠唱銀の火花を散らす。
「…ほう」
「Buddy…随分とやり方がつまらなくなったな」
言葉では平静を装うが、想像以上の常軌を逸した相手の膂力に内心眉をしかめる"赤錆"。
「そうですか…? 私はいつも通り…。ッ!!?」
イドラの姿が、いつの間にか消えていた。
「完成せよ…ヘビィクラッシュッッッ!!!!」
天空から、布槍がとんでもない質量を持った隕石のような速度で落ちてきた。
「「っ!!」」
飛び跳ねる二人。間欠泉のように土砂を吹き出してえぐれる大地。
「馬鹿! 俺まで巻き込む気かッ!!」
「うまく逃げられたから、いいじゃないですか!」

「お喋りする暇があるんですか、二人とも?」
「「ッ!!」」
煙の中から、無数の銃弾のようなものが襲い掛かってきた。
―撃ち殺せ、バレットレイン

「チッ!」
「きゃあっ!!?」
大剣を盾に、"赤錆"がイドラを庇うように抱きかかえる。
(「肉が少しえぐられたか…! だがこの程…度ッ!!」)
今度はイドラを突き飛ばし、再度襲い掛かってきた戦槌と武器を激突させる。
「自分の身くらい自分で守れます!」
「うるさい、ガキは下がってろ!!」

「全くだ」
「「!?」」
それまでずっと黙って硬直していた"左利き"が、おもむろに武器を引きずって前に出る。
「お前が今の比留間だろうと何だろうと、関係ない。
死にたくないなら、下がってろ」
「イヤです! 下がりません!!」
「さがってろッ!!」
ふり返り、イドラと面と向かって対峙する。
本当に、本当に。自分がかつて憧れた『あの人』と全く同じ青く澄んだ瞳だった。
やめろ、そんな目で俺を見るな。
「お前…明日がどうとか言っていたな」
「…」
全ての絶望を焼き殺す青い太陽。『あの人』がもし生きていたなら、きっと自分は焼き殺されていたに違いないと思いながら。
「俺は…そんなもの、いらない。
『彼女』のいない『明日』の変わりに、俺は『今』を生きるんだ…!!」
イドラは何かを言いかけたが、次の瞬間には
"赤錆"が吹っ飛んで二人の間に転がってきた。寝転んだままサングラスを指で上げる。
「語るのはいいが…そろそろ援軍に来るべきと判断する」
「…わかってる」
「はは…『  』くん。彼女と会いたいですか?」
戦槌を肩に担いだ"宗主"が砂煙の中から悠然と歩み寄ってくる。
『彼女』。その言葉に、微かに"左利き"の眉が動く。
「何…?」
「いや、実はね。『生きている』んですよ、彼女」
「な…」
まるで"左利き"の反応そのものを楽しんでいるかのように、少しずつ言葉をつむいでいく"宗主"。

「来ますよ…そろそろ」
"宗主"が向いた方向に、全員が注目する。

―ずるっ…ずるっ
いつからこんな近くにいたのか。全く気がつかなかった。

―アア、アアアウ…アアアAAAA…
言葉にならないうめき声。

―ずるっ…ず…べちゃっ…
崩れては再生する、不形の肉体。
「な…あ…」

複合型地縛霊レギオン。またの名を。
「『   』さんです」
「"宗主"てめえええええぇぇぇぇぇッッッッ!!!!」
獣のような"左利き"の怒号に、大気が震える。
「お前は! …お前はぁぁぁ!!!」
―サム…い…さむい…よ
"レギオン"が、泣き声をあげる。
「お前は…俺から『彼女』の死まで奪うつもりかァッッッッ!!!!」


「奪う? とんでもない。アレは初めから私の所有物です」
"宗主"は、鮫のように笑った。
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