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あってはならない、否定できない可能性――最悪の終末。
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【IF Another despair】――祈りは、失われたのか?

【20XX年 関東某市】

ぷるるるる
ぷるるるる
がちゃ。

「はい、こちら【教会】。現在クソッタレ能力者の封じ込めに手一杯で悪魔の手も借りてえくらいだが、そんな忙しい時に電話をかけてくるとはいい度胸だな。用件はなんだ、5秒で頼む」
「久しぶりなのにご挨拶ですね」
「ほう、アンタか!なんだい、復帰してくれんのか?手が足りなくて困ってるんだ、アンタならいい指揮官にな――」
「いえ、今日は一つお願いを。私の代わりの神父を、うちの教会に回して欲しいのですよ」
「お安い御用だ。一般神父なら掃いて捨てるくらいあぶれてやがる。何週間だ?何ヶ月?」

「そうですね――二十年、ほど」

【20XX年 封鎖特区 鎌倉】

始まりにして終わりの地、鎌倉。
その外縁。
強化コンクリートに呪術的文様が刻まれた外壁が、内と外を隔離する。
重々しいゲートの前に、数人の歩哨が立っている。

「ここから先は封鎖されている。能力者なら、カードと認識番号を」
彼らも何かの能力者なのだろう。アイドリング状態の詠唱炉が立てる低い音が響いている。
服装、得物は各々違えど、首に下げたIDカードは政府直属の封鎖部隊であることを示している。

「カードですか。そのような便利な物は、私の時代には無くてね」
「認識番号とカードが無ければ、ここは通れない。一般人は大人しく戻ってくれないか」

溜息を吐く隊員。

「それとも、自殺志願者か?樹海にでも行ってくれ。樹海なら、人として死ねるからな」
「そのどちらでもありません。強いて言えば、”旧世代”でしょうか」

ばちん。

「……来訪者か?」
「いえいえ。だから、貴方達の大先輩ですよ」

ばちん。ばちん。ばちん。
空気の弾ける音が響く。
応える様に隊員達の詠唱炉の回転数が、ゆっくりと上がっていく。

「通して貰えないでしょうか?事は穏便に済ませたいのですが」
落ち着いた微笑みを浮かべながら、両手を広げる男。
「【見えざる狂気】!気を付けろ、こいつは元能力者――」
「悪いが、宗主とやらに用があるのですよ。暫くそこで麻痺してろ、坊主」

響き渡る雷鳴が、封鎖部隊の耳を潰し。
輝く雷光が、封鎖部隊の目を焼いた。


”ゴッドハンド”封鎖突破、特区進入。
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