あってはならない、否定できない可能性――最悪の終末。
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―――例えばの話をしよう。
例えば、世界はよくならなかったら。
例えば、今の戦いが全て無駄だったら。
例えば、自分の力が届かなかったら。
例えば、そのせいで愛する人を失ってしまったら――
あなたなら、どうする?
あははははははははははは!!
悲劇です嗚呼悲劇です!いやいや実は喜劇です!!
『お約束』は『陳腐』へと変わり、よきものはわるきものに取って代わられた!
【20XX年 封鎖特区 鎌倉】
始まりにして終わりの地、鎌倉。
世界結界はもはや意味をなさず、
敵性来訪者の来襲、そしてシルバーレインによるゴーストの発生により荒廃した地。
数年前政府により戒厳令が布かれ、完全に外界との接触を絶つ為に封鎖特区として指定、厳重な監視の下で彼らはそこで生活している。
封鎖特区外でのゴースト事件などには政府直轄の能力者集団、若しくは封鎖特区から傭兵のような扱いで現地へ赴く。
しかし中には『能力者狩り』の様な事を食い扶持にしている能力者もおり、封鎖特区内の能力者の評判はすこぶる悪い。
力無き者は朽ち、力ある者のみが生き残る。
それが封鎖特区の単純明快にして唯一絶対のルール。
今日もどこかで、力無き者の果てる音が聞こえる。
「…ま、待て!言うよ!言うから殺さないでくれ!」
眼前に突きつけられた刀に冷や汗を流しつつ、恐らくはどこぞの来訪者なのだろう。
妙な格好をした男は情報と引き換えに助命を乞う。
「………」
刀を突きつけている人物は無言で続きを促した。
ニット棒を目深に被り、口元をマフラーで覆っている為表情は窺い知れない。
何より目立つのは、隻腕である事。
二の腕の半ば辺りから右腕が欠損しているのだ。
その風体が更に恐怖を助長させる。
「あの人は、この辺にはいねえ。噂では政府に取り入ったって話だ。」
隻腕の人物は左手に力を込め、数センチ男の喉下へと刀を近づける。
「ほ、本当だって!俺みたいな下っ端には情報なんて殆ど無いんだよ!信じてくれって!」
涙目になり歯を打ち合わせながら必死で弁明をする男。
しばし刀を突きつけていた隻腕の人物は、やがて落胆したかのように刀を引いた。
「…バカがッ!!」
「!!」
瞬間、それを隙と見た男はアビリティを起動、発生した炎が隻腕の人物を焼き尽くす!
……はずだった。
――ズルリ。
男の目に映ったのは、斜めになっていく隻腕の人物。
いや、ヤツが斜めになっているのではない。自分が斜めに倒れ掛かっているのだ。
「な、ん、で…」
胴体が両断されたと気づいた時には、男の上半身は自らが作り出した血溜まりの中へと落ちていった。
そんな男の様子を確認するでもなく、血糊を振り払って左手のみで器用に腰の鞘へ刀を納める隻腕の人物。
「くそっ!ヤツは何処にいる…ッ」
口元を覆うマフラーの下で歯を食い縛り、眉間に皺を寄せる。
かつては輝いていたであろうその目も、今は隻眼となり淀んだ瘴気に満ち溢れていた。
かつて抱いていた幻想、牙無き者の盾となる。
その幻想は、所詮幻想でしかなかった。
片腕を失い、片目を失い――愛するものを失った。
片翼の鳥は飛ぶことなく、ただ、無様に地を這いずるのみ。
両腕に愛する者を抱けなくなり、残った左で武器を執った。
そう、すべては
「――すべては、我が復讐の為」
例えば、世界はよくならなかったら。
例えば、今の戦いが全て無駄だったら。
例えば、自分の力が届かなかったら。
例えば、そのせいで愛する人を失ってしまったら――
あなたなら、どうする?
あははははははははははは!!
悲劇です嗚呼悲劇です!いやいや実は喜劇です!!
『お約束』は『陳腐』へと変わり、よきものはわるきものに取って代わられた!
【20XX年 封鎖特区 鎌倉】
始まりにして終わりの地、鎌倉。
世界結界はもはや意味をなさず、
敵性来訪者の来襲、そしてシルバーレインによるゴーストの発生により荒廃した地。
数年前政府により戒厳令が布かれ、完全に外界との接触を絶つ為に封鎖特区として指定、厳重な監視の下で彼らはそこで生活している。
封鎖特区外でのゴースト事件などには政府直轄の能力者集団、若しくは封鎖特区から傭兵のような扱いで現地へ赴く。
しかし中には『能力者狩り』の様な事を食い扶持にしている能力者もおり、封鎖特区内の能力者の評判はすこぶる悪い。
力無き者は朽ち、力ある者のみが生き残る。
それが封鎖特区の単純明快にして唯一絶対のルール。
今日もどこかで、力無き者の果てる音が聞こえる。
「…ま、待て!言うよ!言うから殺さないでくれ!」
眼前に突きつけられた刀に冷や汗を流しつつ、恐らくはどこぞの来訪者なのだろう。
妙な格好をした男は情報と引き換えに助命を乞う。
「………」
刀を突きつけている人物は無言で続きを促した。
ニット棒を目深に被り、口元をマフラーで覆っている為表情は窺い知れない。
何より目立つのは、隻腕である事。
二の腕の半ば辺りから右腕が欠損しているのだ。
その風体が更に恐怖を助長させる。
「あの人は、この辺にはいねえ。噂では政府に取り入ったって話だ。」
隻腕の人物は左手に力を込め、数センチ男の喉下へと刀を近づける。
「ほ、本当だって!俺みたいな下っ端には情報なんて殆ど無いんだよ!信じてくれって!」
涙目になり歯を打ち合わせながら必死で弁明をする男。
しばし刀を突きつけていた隻腕の人物は、やがて落胆したかのように刀を引いた。
「…バカがッ!!」
「!!」
瞬間、それを隙と見た男はアビリティを起動、発生した炎が隻腕の人物を焼き尽くす!
……はずだった。
――ズルリ。
男の目に映ったのは、斜めになっていく隻腕の人物。
いや、ヤツが斜めになっているのではない。自分が斜めに倒れ掛かっているのだ。
「な、ん、で…」
胴体が両断されたと気づいた時には、男の上半身は自らが作り出した血溜まりの中へと落ちていった。
そんな男の様子を確認するでもなく、血糊を振り払って左手のみで器用に腰の鞘へ刀を納める隻腕の人物。
「くそっ!ヤツは何処にいる…ッ」
口元を覆うマフラーの下で歯を食い縛り、眉間に皺を寄せる。
かつては輝いていたであろうその目も、今は隻眼となり淀んだ瘴気に満ち溢れていた。
かつて抱いていた幻想、牙無き者の盾となる。
その幻想は、所詮幻想でしかなかった。
片腕を失い、片目を失い――愛するものを失った。
片翼の鳥は飛ぶことなく、ただ、無様に地を這いずるのみ。
両腕に愛する者を抱けなくなり、残った左で武器を執った。
そう、すべては
「――すべては、我が復讐の為」
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