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あってはならない、否定できない可能性――最悪の終末。
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【IF Another despair】“発掘屋”はかく語る

――封鎖特区・鎌倉某所

そこには一人の男が住んでいる。
人呼んで“発掘屋”
封鎖特区・鎌倉内の情報を収集し、それらを切り売りする傍ら
修理屋の真似事などをして生計を立てている。
修理屋などと言いながら、実はできる仕事がそれなりに限られていたりする。
主には、細々とした機械の修理。
特に破損したデータを修復する事にかけては定評があった。
故に“発掘屋”
無精髭が絶妙に似合う、うっさんくさいオッサンである。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

おう、アンタか。
頼まれてたモノならできてるぜ、ちょっと待ってな。
……ああ、コレだ。
20070910113259.jpg

何? おいおい、勘弁してくれ。
俺も今まで色々なもんを扱ってきたが、
ここまでブッ壊れたデータを復元したのは初めてなんだぜ?
画像が白黒になってるくらい我慢しろや。
むしろちゃんと見れるもんに仕上げただけでも褒めて欲しいくらいだ。
しかし、なんだな……ソイツがあの“宗主”か。
噂に聞いてた以上の化物だぜ。堪んねぇなぁ、まったく。
こんなのが同じ特区にいるなんざ、考えただけでゾッとくらぁ。
…………あぁ? 
なんだって? ソイツの性能を分析しろ、だぁ?
そんなん俺の知ったことかよ。
俺は修理屋であって分析屋じゃあないんでね、専門の奴を当たってくれ。
おいおい、勘弁してくれ。
判ったよ。すりゃあいいんだろうが。
まったく、年上の人間をそんな目で見るなってんだ。
こんな事で殺されたんじゃあ堪んねぇよ。
……で、分析だったか?
言っとくが、所詮は見た感じでしかねぇからな。
アンタが信用して馬鹿見たとこで、俺は責任もたねぇぞ。
やれやれ。しかし、そうだな……
まぁ、一言で言えば「化物」さ。 
悪い夢が夢ん中からそのまま出てきたみてぇだぜ。
その画像の姿な、おそらくだが、まだ本気でもなんでもねぇんだよ。
精々が四割――大きく見て五割ってとこじゃあねぇかな。
……なんでそう思うか、と言われてもなぁ。
いいか、ちょいとココ見てみな。
明らかに材質の違う二種類の装甲があるだろ。 
おそらく、こいつぁ外骨格と内骨格さ。
機械部品組み合わせまくったやつが、そう、内骨格だろうな。
で、だ。
この画像の姿、内骨格の方が多いだろ。
しかも、この装甲が覆ってるのは右半身だけだ。
パーツの結合の仕方、バランスから考えりゃ、左側もある、と思っとくべきだろうな。
あぁ、つまりはそうゆうこった。
コイツは「不完全」で「片方側」だけしか覆ってない、
「手加減アリアリ」の状態でコレなのさ。
まったくもって堪んねぇよ。
ただでさえ化物みてぇな奴がマジもんの「化物」になって、
それでもまだ半分だってんだからなぁ。
なぁ、アンタ。
だったら次は何になるつもりだ、って話だよ。 
さて、こんなもんでいいか?
そうかい、喜んでもらえたようでなによりだよ……勿論、皮肉だがな。

……で、殺すのかい、俺を。
そうか、だろうなぁ。
アンタ最初っからそういう目ぇしてやがった。
アンタそりゃいけねぇよ。
そりゃあ、人間を人間として見てねぇ目だ。
どうせ殺すつもりで持ってきたんだろ、この仕事もよ。
ははは、やっぱりか。堪んねぇなぁ。
ま、いいさ。
そろそろキツくなってきてた頃だったんだよ、生きてンのも。
こんな朱い空の、こんな狂った世界でよ。
まったく、堪んねぇ。
どうしてこんな世界になっちまったのかねぇ……
あの青い空は、どこに行っちまったのかねぇ………
本当に、堪らねぇよ。
さ、もういいぜ。スッパリやってくれや。
できれば痛くねぇように一瞬で頼むぜ。

ああ――そうだ。
冥土の土産だ。アンタの名前、教えてくれよ。
ケチケチすんなよ、おい。
自分を殺す奴の名前もしらねぇんじゃ、アッチで話のネタに困るだろうが。
………
………………そうか、アンタが。
ははははは! いや、コイツぁ傑作だ! 堪んねぇ!!
驚いたぜ、いやいや、気付かねぇもんだ!
はははははは!
はぁ……いやぁ、最後の最後に笑わせてもらったぜ。
アンタ、割と良い奴だったりするのかも――いや、そりゃねぇか。
さて、と。
んじゃあ、御然さらばといくかぁ。
アッチで精々、アンタが来るのを待っててやるよ。


――またな、“宗主”さんよ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

某日。
封鎖特区・鎌倉内で修理工を営んでいた男――通称“発掘屋”
彼の住んでいた廃墟が消滅している事が確認された。
瓦礫の一つも残さない、痕跡の一つも見付からない、
それは圧倒的な破壊であった。
犯人の行方は杳として知れず、
そもそもそれが人間の仕業であるのか、住民達は首を傾げた。
これはそれだけの、割とどうでもいい話である。
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